介護を上司に伝えるタイミングと伝え方|仕事と両立するセリフ例

公開: 2026年6月23日 読了目安 約6分

先に、要点だけ

  • 会社の制度は、あなたが「介護に直面した」と申し出て初めて動き出す。まず一言伝えることがスイッチ
  • 伝えるのは「親が倒れた・要介護になりそう」と分かった時点が目安。落ち着いてからでは遅い
  • 2025年4月施行の改正育児・介護休業法で、申し出た従業員へ制度を説明する義務が会社側にある
  • 使える制度は介護休暇・介護休業(通算93日)・時短・残業免除・テレワークなど。全部を一度に言わなくてよい
  • 申出・取得を理由とする不利益な取扱いは法律で禁止。黙って有休を削り続けるより早く伝えるほうが守られる
この記事の目次
  1. いつ伝える?タイミングの目安
  2. 誰に・どう伝える?上司・人事へのセリフ例
  3. 会社側には「説明する義務」がある
  4. 使える制度と、その申し出方
  5. 伝えないリスク

親が救急搬送された、あるいは物忘れが進んで一人にしておけなくなった——。仕事を続けながら介護と向き合うと決めたとき、最初の関門が「これを会社に、どう切り出せばいいのか」です。心配をかけたくない、評価に響くかもしれない、と黙っているうちに、有休を削り、こっそり早退を重ねて消耗していく人は少なくありません。

先に結論をお伝えします。会社の両立支援制度は、あなたが「介護に直面した」と申し出て、初めて動き出します。そして2025年4月施行の改正育児・介護休業法により、その申出を受けた会社側には、制度を説明し意向を確認する義務があります(厚生労働省)。つまり、あなたが一言伝えることが、制度と会社を動かすスイッチです。この記事では、伝えるタイミングと、上司・人事へのセリフ例、使える制度の申し出方、そして伝えないリスクを順に整理します。

いつ伝える?タイミングの目安

伝えるベストなタイミングは、「親が倒れた/要介護になりそう」と分かった時点です。状況が固まってから、と待つ必要はありません。むしろ、落ち着いてから相談しようとすると、有休を使い切ったあとで慌てて頭を下げることになりがちです。

💡 「相談」ではなく「申出」だと考える

まだ何も決まっていなくても大丈夫です。「介護に直面したことを会社に知らせる」だけで、会社側に制度を説明する義務が生じ、あなたは選択肢を早く手に入れられます。完璧な計画を立ててから話す必要はありません。

伝える流れは、次のようにシンプルに考えてください。

1
まず一言、直属の上司へ「親の介護に直面した」と事実だけ伝える。詳しい事情は不要。
2
人事に制度の説明を求める両立支援制度の個別周知・意向確認をお願いする。書面や案内をもらう。
3
働き方を具体的に相談する介護休暇・時短・テレワークなど、当面必要なものから申し出る。

誰に・どう伝える?上司・人事へのセリフ例

伝える相手は、まず直属の上司です。ただし、介護の詳しい事情まで話す必要はありません。伝えるべきことは「介護に直面したという事実」と「両立支援制度を使いたいという意向」の2つだけです。

✅ そのまま使えるセリフ例

  • 上司へ:「実は先日、親が入院し、退院後に介護が必要になりそうです。仕事は続けたいので、両立支援制度の利用を相談させてください」
  • 人事へ:「育児・介護休業法の個別周知の対象になると思います。介護休業や短時間勤務などの制度について、説明をお願いできますか」
  • 当面の休みが必要なとき:「まず介護休暇を使いたいのですが、手続きを教えてください」

ポイントは、感情や不安を長々と話すより、事実と要望を短く伝えることです。「迷惑をかけてすみません」と謝る必要はありません。介護と仕事の両立は、法律が正面から認めている働き方です。口頭で言い出しにくければ、メール1本から始めても構いません。

⚠️ 上司が理解を示してくれないときは、一人で抱えない

上司個人が制度に詳しくない、あるいは良い顔をしない場合でも、あきらめる必要はありません。人事部門に直接相談できますし、社内で解決しないときは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が無料で相談に応じています。申出を理由とした不利益な取扱いは法律で禁止されています。

会社側には「説明する義務」がある

言い出しにくさの背景には、「制度を使わせてもらう」という引け目があります。でも実際は逆で、会社側に説明する義務があるのがいまの制度です。

2025年4月1日に施行された改正育児・介護休業法により、介護に直面した旨を申し出た従業員に対して、会社は介護休業などの制度を個別に周知し、利用の意向を確認することが義務づけられました(厚生労働省)。あわせて、40歳前後の従業員への早期の情報提供や、研修・相談窓口の整備なども会社の義務・努力義務とされています。

💡 だから「申し出る」ことに引け目はいらない

あなたが申し出れば、会社は制度を説明しなければなりません。制度をよく知らない上司に、あなたが一から説明する必要はありません。「個別周知の対象だと思うので説明してほしい」と求めれば十分です。

この法改正が「はじまり期の家族」にとって何を意味するのかは、2025年施行の育児・介護休業法改正の解説で詳しくまとめています。

使える制度と、その申し出方

一度にすべてを使う必要はありません。当面の状況に合うものから申し出れば大丈夫です。主な制度を整理します。

制度使える場面目安
介護休暇通院付き添い・手続きなどスポットの用事対象家族1人で年5日(2人以上で年10日)・1日/時間単位
介護休業退院直後など、体制づくりにまとまった時間が必要なとき対象家族1人につき通算93日・3回まで分割可
短時間勤務等通院の送迎や見守りで、日々の勤務時間を調整したいとき時短・時差出勤・フレックスなどから会社の措置を利用
所定外労働の制限残業を免除してほしいとき請求すれば残業(所定外労働)が免除される
テレワーク在宅で見守りながら働きたいとき会社が導入に努める(努力義務)。あれば申し出て利用

数値や運用は会社の規定や状況で変わります(2026年時点)。まずは「当面これを使いたい」と一つ申し出て、あとは人事と相談しながら組み合わせていくのが現実的です。介護休業中の収入面が心配な場合は、雇用保険から給付が受けられます。介護休業給付金の金額と申請の流れもあわせて確認してください。

伝えないリスク

最後に、「伝えない」という選択のリスクにも触れておきます。良かれと思って黙っていることが、かえって自分を追い込むことがあります。

🤐 黙って抱え込むと

  • 有休・早退を重ね、休みが底をつく
  • 理由が伝わらず、勤務態度だけ低く見られる
  • 制度で守られず、限界まで消耗する
  • 突然の離職に追い込まれやすい

🗣️ 早めに伝えると

  • 介護休暇・休業など制度で休める
  • 業務の引き継ぎ・調整をしてもらえる
  • 申出を理由とした不利益は法律で禁止
  • 働き続けながら介護を続けやすい

介護離職は、多くの場合「限界まで一人で抱えた末」に起こります。伝えることは弱さではなく、仕事も生活も守るための現実的な手段です。プライベートを細かく話す必要はありません。「介護に直面した」「両立支援制度を使いたい」——この2つを伝えるところから始めてみてください。

制度の運用や社内の窓口は会社によって異なります(2026年時点)。詳しい取り扱いは、勤務先の就業規則や人事部門で確認してください。

よくある質問

介護のことは、いつ会社に伝えるのがいいですか?

親が倒れた、要介護になりそうと分かった時点が目安です。状況が固まってから、と後回しにすると、有休を使い切ってから慌てて相談することになりがちです。まだ何も決まっていなくても「介護に直面した」と伝えれば、会社側に制度を説明する義務が生じ、選択肢を早めに知ることができます。

上司に嫌な顔をされそうで、言い出せません。

介護休業などの申出・取得を理由に、解雇や降格などの不利益な取扱いをすることは、育児・介護休業法で禁止されています。上司個人が理解を示してくれない場合は、人事部門に直接相談して構いません。それも難しいときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が無料で相談に応じています。

介護休暇と介護休業は何が違いますか?

介護休暇は、通院の付き添いや手続きなどスポット的な用事のために1日・時間単位で取れる休みです。介護休業は、体制づくりのためにまとまって休む制度で、対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得できます(厚生労働省)。日常のちょっとした用事は介護休暇、退院直後などの山場は介護休業、と使い分けます。

介護のことは、伝えずに乗り切ったほうがいいのでしょうか?

黙って有給休暇や早退を重ねると、周囲には理由が分からないまま評価だけが下がり、あなた自身も限界まで消耗しがちです。伝えれば制度で守られ、業務の調整もしてもらえます。プライベートを詳しく話す必要はなく、「介護に直面した」「両立支援制度を使いたい」という事実だけ伝えれば十分です。

参考・出典

本記事は公的機関等の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供であり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。 制度の内容はお住まいの自治体や時期によって異なる場合があります。最新の情報は各公式窓口でご確認ください。