認定調査では何を聞かれる?当日の流れと立ち会いの準備・日頃の様子メモの書き方
先に、要点だけ
- 認定調査は市区町村の調査員が自宅や入院先を訪問し、全国共通の調査票で心身の状態を確認する。所要時間は1時間前後
- 聞かれる内容は「身体機能・起居動作」「生活機能」「認知機能」「精神・行動障害」「社会生活への適応」「特別な医療」の6分野に整理できる
- 本人が調査の日だけ「できます」と元気に答えてしまうことが多いため、家族の立ち会いを強くすすめる
- 最大の準備は「日頃の様子メモ」1枚。困りごとを頻度つき(週◯回・1日◯回)で書き、当日調査員に渡す
申請を終えて、認定調査の日程が決まった。でも当日何を聞かれるのか、親のそばで何をすればいいのか、案内のハガキには詳しく書いていない——。調査を前にした家族の多くが、同じ不安を抱えています。
結論から言うと、聞かれるのは心身の状態に関する6分野(全国共通の調査票にもとづく74項目)で、所要時間は1時間前後。家族にできる最大の準備は、立ち会いと「日頃の様子メモ」の用意です。この記事は調査当日に絞って、流れ・聞かれる内容・メモの書き方を解説します。申請手続き全体の流れは要介護認定の申請方法と流れにまとめています。
認定調査当日の流れ|所要時間は1時間前後
当日は市区町村の調査員(または委託を受けた事業者の調査員)が、自宅や入院先を訪問します。全体の流れは次のとおりです。
調査票の項目は全国共通で、答えた内容はコンピュータによる一次判定と、介護認定審査会での二次判定の資料になります(厚生労働省)。数値化しきれない事情は調査員が「特記事項」として書き添えるため、家族の補足がそのまま審査の材料になると考えてください。
認定調査で何を聞かれる?内容は6分野に整理できる
74項目をすべて暗記する必要はありません。聞かれることは、次の6分野に整理できます。
| 分野 | 聞かれる・確認されることの例 |
|---|---|
| 身体機能・起居動作 | 寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行、視力・聴力 |
| 生活機能 | 食事、トイレ(排せつ)、入浴、着替え、外出の頻度 |
| 認知機能 | 生年月日や今の季節が言えるか、直前の記憶、意思の伝達 |
| 精神・行動障害 | 物を盗られたという訴え、昼夜逆転、感情の不安定さなど過去1か月の状況 |
| 社会生活への適応 | 薬やお金の管理、買い物、簡単な調理 |
| 特別な医療 | 過去14日間に受けた点滴・たん吸引・じょくそう処置などの医療 |
各項目は「できる/できない」だけでなく、見守りや一部介助が必要かどうかという段階で評価されます。「できるけれど時間がかかる」「ひとりだと危ない」という状態は、黙っていると「できる」に分類されがちです。そのまま流さず、その場で一言補足してください。
家族が立ち会うべき理由|「調査の日だけ元気」問題
認定調査でいちばん多いつまずきが、これです。
⚠️ 本人が調査の日だけ元気に振る舞う
調査員という「お客さん」を前にすると、親世代は背筋を伸ばして「自分でできます」「困っていません」と答えてしまいがちです。調査員が見るのは当日の1時間だけなので、そのままでは実態より軽い認定につながりかねません。
対処はシンプルで、家族が立ち会って日頃の様子を伝えることです。本人の答えをその場で否定して言い合いになる必要はありません。「普段はこうです」と事実を伝える役、言いにくいことはメモで渡す役に徹すれば十分です。訂正の場面が多くなりそうなら、調査員に目配せしてメモを指差すだけでも伝わります。
遠方で立ち会いが難しい場合は、日程調整の電話の際に相談してみてください。家族の都合に合わせた日程にしてもらえるほか、メモの事前送付や電話での聞き取りに応じてもらえる場合があります。困ったときは地域包括支援センターへの電話で相談する方法もあります。
事前に用意する「日頃の様子メモ」の書き方
準備はA4用紙1枚(またはスマホのメモ)で足ります。書き方のコツは、形容詞ではなく頻度と具体例で書くことです。「歩くのが大変」ではなく「週に2回くらい廊下でふらつき、先月は2回転倒した」と書きます。
✅ メモに入れる項目と書き方の例
- 歩行・転倒:「屋内でもふらつく。4月に2回転倒し、右腰を打った」
- 食事:「用意すれば食べるが、自分では作らない。火の消し忘れが月2〜3回」
- トイレ:「夜間の失敗が週2回ほど。下着を隠していることがある」
- 入浴・着替え:「入浴は週1回に減った。声かけしないと同じ服を着続ける」
- もの忘れ・気持ちの変化:「同じ話を1日に何度もする。お金の管理は昨年から家族が代行」など
- 介護している家族の状況:「平日は仕事のため日中はひとり。夜間の対応で睡眠不足」
💡 メモは2部用意して1部を渡す
当日、調査員に「日頃の様子をまとめました」と1部手渡してください。特記事項の材料としてそのまま活きます。もう1部は手元に残し、この後のケアプラン相談でも使い回せます。
書く内容に迷ったら、直近2週間の「いつもと違ったこと」を思い出す順で構いません。介護の記録は、認定後にケアマネジャーと話すときにも役立ちます。
調査が終わると、主治医意見書とあわせた審査を経て、原則30日以内に結果が郵送されます。結果の区分によって使えるサービスと相談先が変わるため、通知が届いたら要支援と要介護の違いで次の動きを確認してください。なお、調査の運用の細部は自治体により異なります(2026年時点)。日程や立ち会いの相談は、親の住む市区町村の介護保険担当課が窓口です。
よくある質問
認定調査は本人だけで受けさせても大丈夫ですか?
制度上は本人だけでも受けられますが、おすすめしません。本人が実際より元気に答えてしまい、実態より軽い認定につながるおそれがあるためです。家族が立ち会えない場合は、日頃の様子を書いたメモを事前に市区町村の担当課へ送る、電話で補足するなどの方法を相談できます。
認定調査の所要時間はどれくらいですか?
1時間前後が目安です。本人への聞き取りと動作確認に加え、家族からの聞き取りが行われることもあります。日程は申請後に市区町村(または委託先)から連絡があり、家族が立ち会える日で調整してもらえます。
本人の前で言いにくいこと(排せつの失敗など)はどう伝えればいいですか?
メモに書いて調査員にそっと手渡すか、調査の前後に廊下や玄関先で口頭で補足する方法があります。調査員は本人のプライドに配慮した聞き取りに慣れているので、「本人のいないところで補足したい」と伝えれば対応してもらえます。
実際より大げさに悪く伝えたほうが認定に有利ですか?
事実と異なる申告はしないでください。調査員は動作確認や質問の仕方を変えながら整合性を見ており、主治医意見書との食い違いも審査で確認されます。有利・不利ではなく、日頃の様子を頻度と具体例で正確に伝えることが、実態に合った認定への近道です。