訪問介護でできること・できないこと|ヘルパーに頼める家事と頼めない家事の境界
先に、要点だけ
- ヘルパーに頼めるのは「身体介護(食事・入浴・排泄など本人の介助)」と「生活援助(本人のための掃除・洗濯・調理・買い物)」の2種類
- 頼めないのは、同居家族の分の家事・草むしり・ペットの世話・大掃除・窓ガラス磨き・正月準備など。本人に直接関わらない、または日常の家事を超える行為
- 自己負担は原則1割(所得により2〜3割・2026年時点)。何を頼めるかはケアプランで決まるため、ケアマネジャーに相談して組み込む
- 保険で頼めない部分は、保険外の家事代行や自治体の生活支援サービスと組み合わせて埋められる
「掃除も買い物もヘルパーさんに頼めると思っていたら、庭の草むしりは無理と言われた」——訪問介護を使い始めると、頼めること・頼めないことの線引きに戸惑う家族は少なくありません。よかれと思って頼んだことが、実は介護保険の対象外だった、というのはよくある入口のつまずきです。
結論から言うと、訪問介護でヘルパーに頼めるのは「本人の身体介護」と「本人のための生活援助」の2つ。同居家族の分の家事や、草むしり・ペットの世話・大掃除といった日常の家事を超える作業は頼めません(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)。この記事では、その境界を具体例で整理し、頼めない部分をどう埋めるかまで解説します。
訪問介護でヘルパーに頼めることは大きく2種類
訪問介護(ホームヘルプ)で提供されるサービスは、「身体介護」と「生活援助」の2つに分かれます。どちらも本人(利用者)に対する援助であることが前提です。
🧍 身体介護
- 食事の介助
- 入浴・清拭・洗髪
- 排泄の介助・おむつ交換
- 着替え・体位変換
- 起き上がり・移動の介助
🧹 生活援助
- 本人の部屋の掃除
- 本人の衣類の洗濯
- 本人の食事の調理
- 本人の分の買い物
- 薬の受け取り
身体介護は本人の体に直接触れて行う介助、生活援助は本人の日常生活を支える家事、と覚えておくと整理しやすくなります。この2つは介護報酬の単価も分かれており、ケアプランに「どちらを・週何回・何分」と具体的に書き込む形で利用します。
💡 何を頼めるかは「ケアプラン」で決まる
ヘルパーはケアプランに書かれたサービスを提供します。頼みたいことがあるなら、その場でヘルパーに頼むのではなく、ケアマネジャーにケアプランへ入れてもらうのが正しい手順です。
訪問介護で頼めないこと
一方で、次のような作業は介護保険の訪問介護では頼めません。大きく「本人に直接関わらないこと」と「日常の家事を超えること」の2つに分けられます。
| 頼めない例 | 理由の区分 |
|---|---|
| 同居家族の分の調理・洗濯・掃除 | 本人の援助に当たらない |
| 来客の対応・接待 | 本人の援助に当たらない |
| 草むしり・庭の手入れ | 日常の家事の範囲を超える |
| ペットの世話 | 日常の家事の範囲を超える |
| 大掃除・窓ガラス磨き | 日常の家事の範囲を超える |
| 正月の準備・おせち作り | 日常の家事の範囲を超える |
これらは厚生労働省の情報でも「直接利用者の援助に該当しないサービス」「日常生活の援助の範囲を超えるサービス」として明示的に対象外とされています。ヘルパー個人が意地悪で断っているわけではなく、制度上できない、という点を家族が理解しておくとトラブルを避けられます。
⚠️ 「ついでにお願い」がヘルパーを困らせる
本人の食事を作るついでに家族の分も、庭に出たついでに草むしりも——こうした「ついで」の依頼は、断りにくいヘルパーを板挟みにします。ルール違反が続くと事業所が指導対象になることもあります。頼みたいことは個人に頼まず、ケアマネジャーを通す形にしてください。
迷いやすい境界例:これは頼める?頼めない?
はっきり白黒つかない「境界例」もあります。判断は自治体やケアマネジャーの解釈で分かれることがあるため、迷ったら確認するのが確実です。
たとえば、本人と家族が使う場所が混在する台所や居間の掃除は、「本人が主に使う範囲」に限って認められることがあります。ボタン付けなどの簡単な裁縫、市販薬でない処方薬の受け取りは頼めることが多い一方、金銭・貴重品の管理や医療行為に当たる処置は頼めません。線引きが曖昧なものほど、事前確認が安全です。
頼めない部分は「保険外サービス」と組み合わせて埋める
介護保険で頼めない家事があっても、あきらめる必要はありません。介護保険サービスと保険外(自費)のサービスは、組み合わせて使えます。
- 民間の家事代行サービス:家族の分の家事や大掃除、庭の手入れなどを自費で依頼できる
- 市区町村・社会福祉協議会の生活支援:住民主体の見守り・買い物支援・ゴミ出しなど、地域の制度がある場合がある
- シルバー人材センター:草むしりや簡単な庭仕事を比較的安価に依頼できることがある
✅ 頼めない家事を埋める前に確認すること
- その作業は本当に保険外か、ケアマネジャーに一度確認したか
- 自治体独自の生活支援サービスや助成がないか調べたか
- 保険外サービスの料金(時間単価・最低利用時間)を把握したか
- 介護保険サービスと同じ時間帯に重ねて使えるか確認したか
保険内で頼めることを最大限使い、足りない部分だけを保険外で補うのが、費用を抑える基本の考え方です。訪問介護の自己負担は原則1割(所得により2〜3割・2026年時点)ですが、保険外サービスは全額自費になります。
制度の細かな運用は自治体やケアマネジャーの判断で変わることがあります(2026年時点)。頼めるか迷う作業は、担当のケアマネジャーか、親が住む市区町村の窓口・地域包括支援センターで確認してください。ヘルパーがなかなか見つからない地域では、訪問介護のヘルパーが見つからないときの動き方も参考になります。費用の見通しを立てたいときは介護保険の自己負担割合を、デイサービスやショートステイなど他のサービスと役割分担する視点もあわせて持っておくと、無理なく続けられます。
よくある質問
同居している家族の分の食事も、ヘルパーに作ってもらえますか?
できません。訪問介護の生活援助は「本人のため」の家事に限られるため、同居家族の分の調理や洗濯は対象外です。ただし本人の分を作るついでに家族の分も、という運用は認められていません。家族分が必要な場合は、保険外の家事代行サービスを併用する方法があります。
一人暮らしの親なら、掃除や調理は全部頼めますか?
本人のための生活援助であれば頼めますが、一人暮らしでも「日常生活の援助を超える行為」(大掃除、庭の手入れ、ペットの世話など)は対象外です。また、家族が同居している場合は、家族が家事をできる状況とみなされ生活援助が使えないこともあります。事情がある場合はケアマネジャーに相談してください。
ヘルパーに病院へ連れて行ってもらうことはできますか?
通院の介助は身体介護として頼める場合がありますが、診察室の中での待機や院内介助の扱いは条件があり、事業所や自治体で運用が分かれます。介護タクシー(通院等乗降介助)を使う方法もあります。通院の付き添いが必要なら、まずケアマネジャーに具体的な受診の流れを伝えて相談してください。
頼めない家事は、どうすればいいですか?
保険外(自費)の家事代行サービスや、市区町村・社会福祉協議会が行う住民主体の生活支援サービス、シルバー人材センターなどで代替できます。介護保険サービスと保険外サービスは組み合わせて使えるため、ケアマネジャーに『保険で頼めない部分をどう埋めるか』を相談すると、地域の選択肢を教えてもらえます。