主治医意見書の頼み方|依頼は市区町村・自己負担なし。認定を左右するコツ
先に、要点だけ
- 主治医意見書は市区町村が主治医に直接依頼する。家族が病院に頼みに行く必要はない
- 作成費用は市区町村が負担し、本人・家族の自己負担はない
- かかりつけ医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診断で作成できる
- 意見書は一次判定・審査会の重要資料。受診時に日頃の様子を正確に伝えるほど実態に近い認定につながる
要介護認定の申請書に「主治医」を書く欄がある——そう聞いて、「病院に頭を下げて意見書をお願いしに行かないといけないの?」と身構える人は少なくありません。診察のたびに元気そうに振る舞う親を見ていると、本当の様子が伝わるのかも心配になります。
結論から言うと、主治医意見書は市区町村が主治医に直接依頼するもので、家族が頼みに行く必要も、作成費用の自己負担もありません(健康長寿ネット/厚生労働省)。家族がやることは、申請書に主治医を正しく書くことと、受診時に日頃の様子を正確に伝えることの2つだけです。この記事では、その仕組みと、認定を実態に近づけるコツを解説します。
主治医意見書とは?誰が誰に頼むのか
主治医意見書は、要介護認定の審査で本人の心身の状態を医学的に確認するための書類です。介護保険法では、市区町村が認定を行う際、申請者に主治医がいる場合はその医師から意見を求めることになっています(健康長寿ネット)。
ここで多くの家族が誤解しがちなのが「依頼する人」です。
💡 依頼するのは市区町村
申請をすると、市区町村が申請書に書かれた主治医へ意見書の作成を直接依頼します。家族が病院の窓口で「書いてください」とお願いに行く必要はありません。家族の役目は、申請書に主治医の氏名と医療機関名を正しく書くことです。
つまり、意見書をめぐって家族が動く場面は「申請書に主治医を書く」ところまで。あとは行政と医師の間で手続きが進みます。
主治医意見書の費用は誰が払う?
費用の心配もいりません。主治医意見書の作成費用は市区町村が負担するため、本人・家族の自己負担はありません。認定調査や申請そのものも無料なので、要介護認定の手続きでお金を請求されることは基本的にないと考えて大丈夫です。
ひとつだけ注意点があります。
⚠️ 自己負担が発生する例外
意見書の作成費そのものは無料ですが、これまで受診歴がなく、意見書のために新しく受診する場合は、その診察自体に通常の保険診療の費用(自己負担分)がかかることがあります。かかりつけ医がいれば、この出費も避けやすくなります。
かかりつけ医がいない場合はどうする?
「親は何年も病院に行っていない」というケースもあります。その場合でも認定は受けられます。
主治医意見書を書いてもらえる医師の心当たりがないときは、市区町村が指定する医師の診断を受けて意見書を作成する仕組みがあります(健康長寿ネット)。申請の際に窓口へ「かかりつけ医がいない」と伝えれば、進め方を案内してもらえます。
対応の選び方は次のとおりです。
🏥 かかりつけ医をつくる
- 申請前に近くの内科などを受診しておく
- 日頃の様子を継続的に見てもらえる
- 今後の通院・服薬管理の相談先にもなる
🏛️ 市区町村の指定医
- かかりつけ医がいなくても認定を受けられる
- 申請時に窓口へ相談して手配
- 初対面のため日頃の様子は家族が補う必要
どちらでも認定は受けられますが、初対面の医師ほど本人の日常は伝わりにくくなります。家族からの情報提供が、次に説明するコツにつながります。
受診時に「日頃の様子」を正確に伝えるコツ
主治医意見書の中身は、医師が診察室で見た様子や、本人・家族から聞いた話をもとに書かれます。ところが親世代は、診察室では「大丈夫です」「困っていません」と実際より元気に答えてしまうことがよくあります。
そこで、受診に付き添えるなら次の準備をしておくと、実態が伝わりやすくなります。
✅ 受診前に用意しておくもの
- 日頃の困りごとをまとめたメモ(転倒の回数、もの忘れの具体例、失禁の頻度など)
- 「いつから・どのくらいの頻度で」を数字で書いた記録
- 服用中の薬がわかるもの(お薬手帳)
- 本人の前で言いにくいことは、メモで医師に手渡す
ポイントは、印象ではなく具体的な頻度とエピソードで伝えることです。「最近よく転ぶ」より「この1か月で3回転倒し、うち1回は夜間のトイレで」のほうが、医師も状態を正確に書けます。本人が同席していて言いづらいときは、メモを渡す・別に電話で伝えるなどの方法で構いません。
受診に付き添えない遠方の家族は、電話で医療機関に状況を伝えたり、日頃の様子を書いたメモを本人に持たせたりする方法があります。遠距離介護の進め方は遠距離介護のはじめ方も参考にしてください。
主治医意見書は認定結果にどう影響する?
主治医意見書は、認定調査の結果とあわせて審査に使われます。具体的には、コンピュータによる一次判定と、介護認定審査会での二次判定の両方の資料になります(健康長寿ネット)。
医師が把握している状態が実態とずれていると、認定が実際より軽くなることもあります。だからこそ、日頃の困りごとを正確に医師へ伝えることが、遠回りに見えて認定を実態に近づける近道です。同じく実態を伝える場面である認定調査については、認定調査で何を聞かれる?もあわせて読んでおくと安心です。
制度の細部は自治体により異なります(2026年時点)。主治医の書き方や指定医の手配など、迷ったら親の住む市区町村の介護保険窓口か地域包括支援センターに確認してください。申請全体の流れは要介護認定の申請方法と流れにまとめています。
よくある質問
主治医意見書は家族が病院に頼みに行くのですか?
いいえ。要介護認定の申請をすると、市区町村が申請書に書かれた主治医へ直接、意見書の作成を依頼します。家族が病院の窓口で「意見書を書いてください」と頼みに行く必要はありません。申請書に主治医の氏名と医療機関名を正しく書いておくことが役割です。
主治医意見書の作成費用は自己負担ですか?
作成費用は市区町村が負担するため、本人・家族の自己負担はありません。ただし、申請前にかかりつけ医がいない状態で意見書のために新しく受診する場合は、その診察自体に通常の保険診療の費用がかかることがあります。
かかりつけ医がいない場合はどうすればいいですか?
主治医意見書を書いてもらえる医師の心当たりがない場合は、市区町村が指定する医師の診断を受けて作成する仕組みがあります。申請時に窓口へ「かかりつけ医がいない」と伝えれば案内してもらえます。申請前に、近くの内科などを一度受診してかかりつけ医をつくっておく方法もあります。
主治医意見書は認定結果にどれくらい影響しますか?
意見書はコンピュータによる一次判定と、介護認定審査会の二次判定の両方で使われる重要な資料です。医師が把握している情報が実態とずれていると、認定が実際の状態より軽くなることがあります。受診時に日頃の困りごとを正確に伝えることが、実態に近い認定につながります。